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カナダ移住への道 2

  • 執筆者の写真: 矢野修三
    矢野修三
  • 2024年8月1日
  • 読了時間: 4分

その2 日本語教師として

 さて、会社をやめて いよいよ第二の職業である日本語教師を目指してまずは「日本語教師養成講座」を受けるべく日本語学校に通い始めたのであるが今までと生活様式や生活のリズムが一変したのは 言うまでもない。

 

 サラリーマン時代は 朝早くから夜遅くまでの生活であったが、この学校は週2回 しかも午後2時には 終わってしまうのである。暇は暇だが 長年の習性からか 何かしていないと 何となく落ち着かず、時間を逆に持て余し始めた。

 更に 一例であるが、これも長年の会社勤めからくる習性であろうか、なぜか 駅で切符を買う行為が非常に“みじめ”に感じた。「いい年した中年の男が平日の昼間 駅で切符を買う」この姿から「あの人間はどこにも属していない、何もしていないんだな」 と判断されるのが怖かったのかもしれない。


 《誰もこんな目で見ていることはあり得ないのだが》 しかし当時は他人の目が非常に気になる社会に属しており、今考えると本当に馬鹿げているのだが、 わざわざ定期券を買ったりしたのである。


 もちろん個人差もあろうが、 日本は確かに 《他人の目が気になる文化》であることは間違いないと思う。 このことはここカナダに来てつくづく感じたことであった。 いずれにせよ、大きな変化に戸惑いを感じながらそして 時々 サラリーマン時代を懐かしく感じながらも、 今までと異なった物の見方、考え方、そして視野の広がりも感じ始めていた。

 さて日本語教師への 《あゆみ》 であるが、 確かに教師になることに対してかなり不安はあったが、日本語は母語だし外国人よりうまいのは当たり前、なんとかなるだろう という気持ちもあった。しかし訓練を受けて行くうちにそんなに生易しいものではないということが 分かってきた。


 日本語を教えるためには 国文法ではない 外国の人に教えるための特別な文法知識が必要であり、これを身につけなければ、 鎧を着ないで戦場に出て行くようなもので自信を持って教えることなど出来ず、 どうしても「知識という鎧」をまとわなければならないと強く感じた。 更に、 母語として自然に身についた文化や習慣、そしてそれに絡んだ言葉を教えるのは 大変難しいということも 生徒のいろいろな質問を通して いやという程感じたのである。


 1例であるが、このころ(1988年)は日本語ブームの真っ只中で、日本語教師が足りず、 私も講座終了後、すぐ教師として教壇に立ったのであるが,そのとき受けた質問であった。 あいさつ言葉を勉強した後、 ある生徒が『お父さんこんにちは』 はなぜダメなんですか。 一瞬言葉に詰まった。こんな質問を受けようとは 夢にも思わなかった。 確かに他人行儀に聞こえて不自然である。 家族や会社の人に 「おはよう」 は 使うが、「こんにちは」は使ったことがない。 でも 「なぜ使わないんですか」 「なぜダメなんですか」 と改めて聞かれると答えられない。


 これは小さいときから無意識のうちに身についてしまったものだからであろう。幼稚園の先生から「お父さんやお母さんに 『こんにちは』 を使ってはいけませんよ」と教わった記憶などまったく無いし、その必要もないのであろう。

 しかし 「おはよう」 と 「こんにちは」 には大きな違いがある。「おはよう」はいわゆる《内の人》にも《外の人》にも 両方に使えるあいさつ言葉であるが、「こんにちは」は《外の人》に対してだけ使い、《内の人》には使わないという一種の“決まり”がある。 こんなことをいちいち意識している日本人は少ないと思う。 サラリーマン時代、自分の会社に昼から出社したとき、確かに挨拶に困ったことを思い出した。 決して 「こんにちは」 とは言わなかったしまた言えなかった。でも その時 《なぜだろう》 とは思わなかったのである。

 

日本語を教えようとするとき、 日本語を外からもう一度見直すことが非常に大事なことだと感じられた。そして日本語を教えるということに一段と興味が沸いてきたのである つづく

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