≪ことばの交差点≫ 34
- 矢野修三

- 12月5日
- 読了時間: 3分
日加トゥデイ 11月号 掲載
☆ 大リーグ「ドジャース」と「ドッジボール」
今年度のアメリカ大リーグのワールドシリーズは、異様なほど盛り上がった。
ナ・リーグ代表の「ドジャース」とア・リーグ代表の「ブルージェイズ」との
天下分け目の大一番。
野球に関心のない方には申し訳ないが、ドジャースは大谷を含め3人の日本選手が活躍しているチームであり、一方、ブルージェイズは大リーク30チームの中で、唯一のカナダのチーム。奇しくも、今回は1993年以来のカナダとアメリカの国対抗となり、トロントはもちろん、カナダ全土、ここバンクーバーでも大いに活気づいた。
さらに、個人的にも、子供のころは、ピッチャーで四番バッターの野球少年だったので、気分はいつも二刀流の大谷翔平であり、日本選手の活躍をワクワクしながら応援。
しかし、カナダに移住している日本人としては、やはりカナダが大事であり、どっちを応援すればいいのか・・・うーん、いろいろ迷ってしまったのも事実である。
戦いは、最終第7戦までもつれ込む大接戦。最後は延長戦でドジャースが栄冠をつかんだ。まさに歴史に残る素晴らしい試合であり、さりげなく両チームを応援しながら、テレビに釘付け。どっちにも声援を送り、へんてこなテレビ観戦になったが、野球の醍醐味を存分味わった。
加えて、先月号の「ドッジボール」のエッセイを読んだ友人から、「ドジャース」のチーム名は「ドッジボール」と関係あり、との助言があり、聞いたり調べたりして、びっくり。「ドジャース」と「ドッジボール」の興味深い繋がりが判明。とてもタイムリーな話題に胸をときめかせてしまった。
さて、その繋がりとは・・・、このドジャース球団の歴史は古く、はるか昔1883年までさかのぼる。ナント日本では明治中期である。さらに驚いたことは、最初の本拠地はニューヨークのブルックリンとのこと。その当時、市民の足はトロリー(路面電車)であり、街中あちこち走っていたようである。だから、市民は道を横断するにも、このトロリーをドッジする、うまくよけなければならなかった。まさに、「ドッジ・ボール」と同じで、「ドッジ・トロリー」である。
そこで、トロリー(路面電車)をよけながら生活するブルックリン市民のことを「dodge」に「er」をつけて、トロリーをよける人、ドッジする人、すなわち、
トロリー・ドジャース(Trolley Dodgers) と、少しおどけて呼ぶようになったとのこと。
なるほど。
そしてこの地で生まれた野球チームに、この「トロリー・ドジャース」と名付けた。でも少し長いので、「トロリー」を除いて、単に「ドジャース」にした。Oh, I see !
その後、1958年に今のロサンゼルスに移ったが、古き伝統を残そうと、名前はそのままにしたようである。うーん、確かに、LAとは関係なく、「よける人々」では弱そうで、野球のチーム名としてはふさわしくない気もするが、でも昔からの伝統を重んじた粋な計らい。日本的なつつましさも感じられ、このチームには日本人選手が活躍しやすい雰囲気があるのでは・・・。
因みに、ブルージェイズはカナダ・オンタリオ州を代表する鳥BlueJay (アオカケス)が由来である。ぜひ来年も、再びこの両チームの決戦となり、日本選手は活躍するが、今度は「ブルージェイズ」が勝つ。こんな夢、My dreamをドッジしないでね。




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