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≪ことばの交差点≫ 21

  • 執筆者の写真: 矢野修三
    矢野修三
  • 2024年10月23日
  • 読了時間: 3分

        日加トゥデイ 2024年10月号 掲載


☆ 「二人前」と「二人分」の読み方は・・・?


 ここは中華レストラン、コロナの少し前に日本語教師養成講座を受講して、

随時オンラインで日本語を教えている卒業生から連絡があり、久しぶりの再会。ランチを食べに入った店である。


 彼曰く、「ここのチャーハンはすごく美味しいです。朝メシ抜きなので、僕は二人前食べます」である。若さを羨ましく感じたが、(ふたりまえ)の発音が気になり、わざと怪訝な顔をした。


 すると、まだ新米だが、さすが日本語教師、素早く悟って、「やはり《ふたりまえ》は

間違いですか、すみません」である。確かに、この「二人前」の正しい読み方は「ににんまえ」である。でも、最近は「ふたりまえ」もかなり使われており、もはや間違えとは言えないかも・・・。事実、「二人分」はどちらもOKのようだが、「ににんぶん」よりは「ふたりぶん」のほうが言いやすいので、よく使われている。なぜ「前」と「分」で読み方が変わるのか・・・、日本人でも大いに戸惑ってしまう。


 このように、「二人」の発音は二通りあり、ややこしい。でもこれにはちゃんとした理由がある、ご存知のごとく日本語の数え方はとても複雑。「鳥」や「猫」「馬」などもそれぞれ異なるから大変。「人」は「ひとり、ふたり、さんにん、よにん・・・」と、しっかり教えているが、ここに原因が潜んでいる。


 よく考えてみると、一人(ひとり)、二人(ふたり)は和語、いわゆる日本式の読み方だが、三人(さんにん)からは漢語「にん」である。うーん、なぜ「ひとり」「ふたり」だけ和語の読み方をするのか、とても不思議。当然、漢語の読み方、一人(いちにん)、二人(ににん)もあり、ややこしくしている原因である。


 この「人」の数え方だが、はるか昔は「ひとり、ふたり、みたり、よたり、いつたり」のように全て和語で数えていたとのこと。それが、いつのころからは、はっきり分からないが、「ひとり、ふたり」だけ和語が残り、「さんにん」から後は、全て漢語になって自然と定着したとのこと。えー、なるほど。


 それゆえ、「一人」と「二人」は和語か漢語かどっちを使うか、混乱を招くのは当たり前。でも、「三人前」と「三人分」などはそんな問題は起こらない。


 でもなぜ「ひとり、ふたり」だけが和語なのか? はっきりした理由はないようだが、和語は話し言葉として柔らかさや親しみがあるからであろう。特に会話でよく使う「ひとり」と「ふたり」は感情や雰囲気を表わすのにふさわしく・・・。やはり、「一人ぼっち」が「いちにんぼっち」では馴染めないし、「二人の秘密」や「二人の思い出」なども「ににん」ではピンと来ない。その通り。


 確かに、慣用的な語句の「一人称・二人称」や「二人三脚」などは、漢語の「いちにん」や「ににん」のほうがふさわしい。でも、方言なども絡んで、「二人組」などもどちらでもOKとされている。されど、個人差もあろうが、何となくうまく使い分けているのでは。

二人組の強盗などは「ににん組」だが、彼女との「二人組」は「ふたり組」のほうがいい感じでは。


 言葉はその時代の人々の感性や語感などによって変わっていく。彼曰く「言葉は生き物ですね。教えるのは大変ですが楽しいです。早く一人前の教師に・・・」と、(いちにんまえ)を強く意識して意見を述べた。すごい。もう一人前の教師である。ウーロン茶を一人前注文し、半分ずつにして、笑いながら乾杯。



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