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外から見る日本語 236

  • 執筆者の写真: 矢野修三
    矢野修三
  • 2022年1月24日
  • 読了時間: 3分

                 バンクーバー新報 2022年1月掲載

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「寅」と「虎」の関係は・・

明けましておめでとうございます。今年は寅年。

勇猛果敢な虎どのに、ぜひコロナを退治してもらいたい。


この十二支、日本語上級者には日本の文化として、特に、新年最初の授業では、その年の干支について話をしているが、最近、「向かい干支」なることを知って 驚いてしまった。                                            

  

 これは十二支を円状にしたとき、自分の干支の向かい側にくる干支が「向かい干支」

守り干支として、その年に幸福をもたらしてくれるとか、えー、びっくり。江戸時代に

縁起物として流行ったようだが、昭和期ごろから、あまり話題にならず、現代では

「向かい干支」など知っている人はごく僅か。小生は申年なので、「向かい干支」は寅。

今年である。幸運を期待して、宝くじでも買おうかと。


 この十二支に関して、必ず受ける質問がある。漢字である。今年の場合、「寅」と「虎」、なぜ漢字が二つあるのか・・・。うーん、確かに、我々日本人でもややこしい。

これは、はるか昔、古代中国で時刻や年、方位や占いなどに作られたものとか。

でも当時の記録はほとんどなく、中国でもはっきりしたことは分からないようだが、

「十干・十二支」として、十干(じっかん)は「甲、乙、丙、丁・・・癸」で、

十二支は「子、丑、寅、卯・・・亥」である。


 そして、当時、漢字など分からない一般大衆にも馴染めるように、十二支には身近な

動物を「ねずみ」から順番に、それぞれの漢字に割り当てたとのこと。それゆえ、

この漢字「寅」と動物の「虎」は全く関係なし。でも動物の「虎」がこの「寅」に割り当てられたので、十二支の上では「寅=虎」の特別な関係になり、日本式読み方も両方「とら」である。子供のころ「申」がなぜ「猿」なの分からないまま、申年に、猿の版画を懸命に

彫った記憶あり。


 歴史をひも解くと、この「十干・十二支」、日本には6世紀半ばに伝わり、時代と共に

日本の文化として定着し、江戸時代に大いに親しまれたようである。本家中国では、

12番目の動物は「豚」だが、当時日本にはまだ豚がいなかったようで、似ている「猪」を当てたとか、また、なぜ「ねずみ」が一番なのか、さらに「ねずみ」にだまされた

「猫」の話など、日本独自の逸話として広まっている。でも面白いことに、ベトナムや

タイでは「猫」が「うさぎ」の代わりに入っているとのこと。

  

 正式な干支(えと)とは「十干・十二支」のことであり、「甲子」(きのえね)や

「乙丑」(きのとうし)などである。日本でも明治ごろまではちゃんと「甲子」として

使っていたようで、一例として、1924年は「甲子」の年であり、この年に出来た野球場を「甲子園」と命名した。また「丙午」(ひのえうま)なども十干をつけていた。でも昭和に

なり、「十干」はややこしく、忘れられてしまい、干支といえば十二支だけになって

しまったとのこと。なるほど。


 今でも、十二支は年賀状やカレンダーなどに使われており、日本人にはお馴染みだが、

日本語学習者にはこんな漢字の複雑な経緯を説明する必要はない。でも、

子午線(Meridian)や午前・午後などを教えるときはとても便利である。

今年の干支は正式には「壬寅」(みずのえ とら) とのこと。確かに難しくよく分からないが、素敵な良い寅年に。虎さん頑張って !



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