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外から見る日本語 252

  • 執筆者の写真: 矢野修三
    矢野修三
  • 2023年8月2日
  • 読了時間: 2分

   バンクバー新報7月号 掲載

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☆ 「肉」は ニクらしい ?

 日本語教育において、漢字の導入はなかなか大変である。

漢字など見たくもないという生徒も多いが、日本語における漢字の役割は大きく、日本語上級者になるにはある程度の漢字学習は不可欠なり。

 まず、生徒はなぜ一つの漢字に読み方がいろいろあるのか疑問に思う。確かに。そこで、漢字は大昔、中国から伝わってきた、と説明し、中国式の読み方「音読み」と日本式の読み方「訓読み」があることを教えると分かりやすい。例えば「犬」は、

音読みが「ケン」(カタカナ)で、訓読みが「いぬ」(ひらがな)である。


 この「音読み」と「訓読み」は日本人でもややこしい。こんな苦い思い出がある。日本語上級者から「肉汁」の読み方の質問を受け、「にくじる」と答えた。すると彼女は、

「先生、それは重箱読みですね」である。何か試された感じがしてびっくりしてしまった。


 早速辞書で調べたが、「にくじる」など載っておらず、ナント「にくじゅう」が正式な

読み方。うーん、思わずため息。かつて漢字に興味を持つ彼女に「重箱読み」と

「湯桶読み」を教えた先生としては誠にお恥ずかしい限り。


 確かに漢字の読み方、特に2字熟語は難しい。本来は両方を音読みか訓読みに統一するのが一応ルールだが、「重箱読み」とは重箱(ジュウ+ばこ)のように「音+訓」読みで、

格安(カク+やす)など。「湯桶読み」とは湯桶(ゆ+トウ)のように「訓+音」読みで、

朝晩(あさ+バン)などである。


 でも、もっと恥ずかしいことはこの「肉」の「にく」を「訓読み」だと、ずっと思い込んでいたこと。「ニク」は音読みだと分かり、びっくり。だから「ニクじる」では重箱読みになり、「ニクジュウ」がルール通りの読み方。確かに「肉親」も「ニクおや」ではなく、「ニクシン」。教師として実に情けなく、彼女に深々と頭を下げた。それにしても、

この漢字「肉」はニクらしい。


 しかし、ルール通りに読むと分かりにくいものも多々ある。前例の「格安」だが、

「カクアン」では分からず、重箱読みの「カクやす」なら分かる。これは耳で聞いても

すぐ分かるように、昔の人が考えだした読み方とのこと。すごい知恵。

「焼肉」も「ショウニク」では食べたくないが、湯桶読みの「やきニク」なら食べたい。


 もしかすると、これらの読み方はその時代、時代の若者言葉だったのでは・・・、

そんな思いが頭をかすめた。現に「青春」を訓読みにした「あおはる」が今どきの若者言葉としてはやっているとか。とてもついて行けないが、

まさしく「言葉は時代とともに」を感じる。



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