google-site-verification=IP3Xe6lVygvLWZ1aP8J9VOsWtRdJpMK4szKM_wtu7r4
top of page
  • Youtube
  • Twitter Social Icon
  • Facebook Social Icon

外から見る日本語 230

  • 執筆者の写真: 矢野修三
    矢野修三
  • 2021年7月29日
  • 読了時間: 2分

                       2021年7月 バンクーバー新報掲載   

ree

☆ 「日本語上達のコツ」の「コツ」は ?

日本語学習において、いろいろなことが気になる上級者から質問があるというので少し緊張した。「先生、日本語上達のコツは何ですか?」である。ナンだそんなことかとホッとしたが、そんな簡単ではなく、彼の質問は続いた。「この『コツ』はカタカナで書いてありますが、何の省略ですか」である。


 この「コツ」に関する質問は日本語教師になって、今までに何回か受けたことがある。

確かに日本語学習者、特に上級者になると、意味は理解できるが、「コツ」の語源が気になるようである。カタカナで書いてある「コツ」を見て、彼は外来語だと思った。「コネ」が「コネクション」、「アニメ」が「アニメーション」であるように、「コツ」は何の省略なのか、英語が母語である彼としては、とても気になったとのこと。なるほど。


 我々日本人はこんなことほとんど意識したことないし、コツはコツであり、語源など考えたこともない。でも、この「コツ」は「仕事のコツ」や「ゴルフ上達のコツ」、また

「コツをつかんだ」など、会話にもよく使うし、広告記事などでもよく目にする。改めて、なぜ「コツ」なのか、なぜ「カタカナ」なのか、と質問されると、確かに困ってしまう。


 この「コツをつかむ」を漢字で書くと「骨を掴む」である。そう、「コツ」は「骨」であり、略語などではない。「骨」は身体の中心にあり、体を支える大事なもの。そこから物事の本質や要領、大事なポイントなどを意味するようになり、音読みの「コツ」を使って、「着付けのコツ」や「お点前のコツ」などいろいろな表現ができた。かなり昔からあった

ようである。


 表記として昔は漢字の「骨」を書いていたようだが、「ほね」と読まれては困るし、

「ゴルフ上達の骨」では何となく馴染めず、漢字の「骨」は使いたくない。もちろん、

ひらがなの「こつ」でも問題ないが、辞書などに「音読み」はカタカナで書いてあるので、カタカナの「コツ」のほうがしっくりする。決まりなどないが、現在ではカタカナ表記が

一般的になっている。


 この「コツ」を英語に訳すと、場面や状況などにより、いろいろな単語や言い方があるとのこと。「日本語上達のコツ」を彼は「Tips for improving Japanese」と訳した。

「tip」である。レストランなどで支払いのときの、あのチップと同じ。えー、びっくり。そこで、「チップをはずめば、チップを教えてやるよ」と、思わず口から出てしまった。

長引くコロナパンデミック、元気に楽しく生きるコツをつかみたいものである。

最新記事

すべて表示
外から見る日本語

お別れインタビュー記事    バンクーバー新報 9月号 連載コラム「外から見る日本語」 矢野修三さんインタビュー 日本語教師の矢野修三さんによる「外から見る日本語」は、 バンクーバー新報が紙媒体だった2001年から始まった。...

 
 
 
外から見る日本語 253

バンクーバー新報 8月号に掲載 ☆ 「凸凹」と「凹凸」の読み方は ?    さわやかな青空が広がって、これぞバンクーバーの夏。いろいろ楽しまねば。先ずは、コロナによる運動不足を解消すべく、ハイキングや歩こう会などに張り切って参加している。...

 
 
 
外から見る日本語 252

バンクバー新報7月号 掲載 ☆ 「肉」は ニクらしい ?  日本語教育において、漢字の導入はなかなか大変である。 漢字など見たくもないという生徒も多いが、日本語における漢字の役割は大きく、日本語上級者になるにはある程度の漢字学習は不可欠なり。...

 
 
 

コメント

5つ星のうち0と評価されています。
まだ評価がありません

評価を追加
bottom of page