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外から見る日本語 232

  • 執筆者の写真: 矢野修三
    矢野修三
  • 2021年10月1日
  • 読了時間: 3分

2021年9月 バンクーバー新報掲載

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☆「足下」か「足元」か・・・ ?

 

今年も残すところ3か月余り、正に「光陰矢の如し」を強く感じ、久しぶりのリアル会などで、この「月日の早さ」がよく話題になる。また足腰などの衰えも恰好のネタ。加齢とともに、またコロナ禍における運動不足もあり、「足もとに気をつけて!」、こんな

会話が最近のリアル飲み会の席でよく登場する。


 先日、この「足もと」の漢字が話題になった。確かに漢字として「足下」と「足元」

そして「足許」がありややこしい。でも「足許」は読みの規制もあり、昨今はあまり使われていない。「足下」か「足元」かどっち? でもこの二つ、意味的には微妙な違いがある。「足下」は文字通り、足の真下にある地面や場所を表わすが、「足元」は足が地についている周辺の部分も含む、すなわち「足元」は「足下」よりも広い範囲を表わすとのこと。なるほど、確かに自分の影が地面に長く伸びている場合は「足元に影が長く映っている」のほうがふさわしい感じがする。


 しかしそんなこと意識している人は少なく、意味的にもほとんど差がないので、一般的には「足元」も「足下」もどちらも問題なし。事実、「足元が滑りやすい」も「足下が滑りやすい」もノープロブレム。ただ、新聞関係などは基本的に「足元」を使うようである。確かに公共の表示やステッカーなどはほとんど「足元注意」になっている。また「足下」は「そっか」と読むと、手紙の脇付けなどにも使われるのでわずらわしい。すると、ひらがな書きの「足もと」が一番分かりやすいかも。


 ところで、この「足元」を含む表現に間違いが見られる。「足元をすくう」である。

これは相手のミスやすきをついて失敗させることで、一般的には受身形の「相手に足元を

すくわれた」として用いることが多い。特にスポーツ新聞の記事などにこの表記が目立つ。

この「すくう」は「払いのける」という意味であり、「足」を払いのけることはできるが、「足元」は地面であり、払いのけるのは容易ではない。「もと」など付けず、

「足をすくう」、「足をすくわれた」が正しい表現とのこと。うーん、なるほど。


 でも文化庁の調査によると、すでに七割以上の人がこの「足元をすくわれる」を使って

いるとのこと。小生も誤りとは気づかず、ずっとそう思い込んできた。正しい「足をすくわれた」より、正しくない「足元をすくわれた」のほうが言いやすく、分かりやすいと感じる人が多いからであろう。言葉は時代とともに・・・。


 日本語教師としては恥ずかしい限りであり、これを言葉の「乱れ」か、それとも「ゆれ」とみるか、まるで自信がなくなってしまった。足元を見られないうちに、

話題を変えたく思い、お酒のたしなみは加齢に伴い、足下がふらつく前に必ず

やめましょう、とお開きにした。

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