google-site-verification=IP3Xe6lVygvLWZ1aP8J9VOsWtRdJpMK4szKM_wtu7r4
top of page
  • Youtube
  • Twitter Social Icon
  • Facebook Social Icon

外から見る日本語 233

  • 執筆者の写真: 矢野修三
    矢野修三
  • 2021年10月29日
  • 読了時間: 3分

2021年10月 バンクーバー新報掲載

ree

☆「行くです」はまだダメ・・・!

 

やっと国内旅行は行けるようになったが、海外旅行となるとまだ

いろいろ大変である。日本に行きたいけど、簡単に行けず困って

いる友人や生徒もたくさんおり、口から愚痴の一つも飛び出す。「口も濁れば愚痴になる」、こんな日本行きのことを考えて

いたら、日本語上級者の質問を思い出した。「行きます」の否定形は「行きません」と習いましたが、「行かないです」もよく聞きます。この二つはどんな

違いがありますか、である。


 確かに、日本語教育では「行きます」の否定形は「行きません」であり、

「行かないです」は教えていない。しかし、日本ではだいぶ前から若い人に限らず多くの

人がこの表現を使っており、テレビドラマなどでもよく登場している。


 これは古くからの「です・ます」の文法上の大きな「変化・ゆれ」である。原則として、名詞に「です」、形容詞と動詞は「ます」が決まりだった。名詞は「学生です」であり、

形容詞の「おいしい」や「楽しい」などの丁寧表現は「おいしゅうございます」や

「楽しゅうございます」と言っていたとのこと。はるか昔、子供のときに聞いた記憶あり。


 しかし、この表現は言いにくいし、馴染めないと当時の若者は感じたのであろう。

そこで形容詞にも「です」を付ける簡単な言い方、「おいしいです」や「暑いです」などがどんどん広まり、1952年(昭和27年)の国語審議会で、簡素な表現として認められたので

ある。それゆえ、歴史もそんなに古くなく、年配の人の中には、これらの表現に幼稚な

印象を持つ人もまだ多いのでは。


 日本語教育でも当然「おいしいです」や「暑いです」を教えている。さらに、否定形の「暑くありません」よりは「暑くないです」のほうが主に使われており、こちらを導入している。この「~ないです」の広まりは、本来「ます」を付ける動詞にまで影響を与えて、

特に否定形の「行きません」を「行かないです」、「食べません」を「食べないです」

など、こんな言い方が広まってきたのであろう。まさに「言葉は時代とともに」であり、

日本語教育でも、そろそろ両方教えたほうがよろしいかも。


 この「行きません」と「行かないです」の違い、我々日本人は個人差や言い方にも

よるが、確かに何となく違いを感じる。強い決意などを示す場合は「二度と行きません」

になり、軽くおどけた雰囲気の場面では、「行かないです」のほうがぴったり。こんな

感じで使い分けている人が多いのでは・・・。


 その上級者には、目上の人などにはやはり正式な「行きません」を使うほうがいいが、

カジュアルな場面では「行かないです」でも大丈夫。この傾向はさらにエスカレートし

そうで、日本語教師として、いつか「行くです」や「食べるです」を教える日が来るです、と思わず彼と笑ってしまった。


最新記事

すべて表示
外から見る日本語

お別れインタビュー記事    バンクーバー新報 9月号 連載コラム「外から見る日本語」 矢野修三さんインタビュー 日本語教師の矢野修三さんによる「外から見る日本語」は、 バンクーバー新報が紙媒体だった2001年から始まった。...

 
 
 
外から見る日本語 253

バンクーバー新報 8月号に掲載 ☆ 「凸凹」と「凹凸」の読み方は ?    さわやかな青空が広がって、これぞバンクーバーの夏。いろいろ楽しまねば。先ずは、コロナによる運動不足を解消すべく、ハイキングや歩こう会などに張り切って参加している。...

 
 
 
外から見る日本語 252

バンクバー新報7月号 掲載 ☆ 「肉」は ニクらしい ?  日本語教育において、漢字の導入はなかなか大変である。 漢字など見たくもないという生徒も多いが、日本語における漢字の役割は大きく、日本語上級者になるにはある程度の漢字学習は不可欠なり。...

 
 
 

コメント

5つ星のうち0と評価されています。
まだ評価がありません

評価を追加
bottom of page