google-site-verification=IP3Xe6lVygvLWZ1aP8J9VOsWtRdJpMK4szKM_wtu7r4
top of page
  • Youtube
  • Twitter Social Icon
  • Facebook Social Icon

外から見る日本語 239

  • 執筆者の写真: 矢野修三
    矢野修三
  • 2022年4月29日
  • 読了時間: 3分

                     バンクーバー新報 4月号掲載 

ree

☆ 「着物」と「和服」の違い ? 


 四月も下旬、春盛り。こんなひどいご時世でも、春はちゃんと

来てくれ、いろいろな花も咲きほころび、四季の移ろいに大いに

元気づけられている。そんな折、質問好きな日本語上級者から

メールが入った。 「先生、エッセイを読みました。湯上りに着物を着て、ビールではなく、日本酒が飲みたいです」、こんな前書きがあり、やはり質問が

続いた。「着物」と「和服」の違いは何ですか・・・である。うーん、日本人はあまり

気にしたこともないが、確かに両方使っているので、上級者は気になるのであろう。


 日本語教師になってから、同じような質問を何度か受けている。

この「着物と和服」や「日本食と和食」などの「違い」である。でも、なぜ同じような

意味の言葉が二つもあるのか、我々日本人にとっても、確かにややこしい。


 日本語教師としては何とか説明しなければ、そこで先ず、「和服」や「和食」などの

成り立ちを調べてみた。これらは幕末から明治初期に作られた言葉とのこと。文明開化と

ともに、西洋からいろいろな物が入ってきた。そこで新しい言葉を作らなければならない。例えば、西洋人が着ている服だから「洋服」という言葉を作り、それに対応して、日本人が着ている服を、「和」という漢字を使って、「和服」を作ったとのこと。なるほど。


 でも、古くから「着物」という言葉があるので、「和服」など必要なく、また

「洋食」に対する「和食」も「日本食」という言葉があるから、わざわざ「和服」や

「和食」など、作る必要はなかったのでは・・・と、日本語教師として、生徒からこんな

ややこしい質問を受けるたびに、思い悩んでしまった。


 しかし、明治初期、西洋に追いつくには、「洋風・和風」などの「洋」と「和」の対比、

さらに「和」の良さを言葉として、強くアピールすることが重要だったであろうことは容易

に想像できる。でも「洋酒・和酒」の「和酒」に関しては、言いにくさもあり、「日本酒」という言葉があるからであろう、ほとんど使われず、「日本酒」との違いなどの質問もなく、ホッとしている。


 さて、「着物」と「和服」だが、こんな経緯があり、基本的には同義語。でも明治以降、

衣食住の文化も大きく変わり、言葉にも変化がみられる。この着物と和服の

「使い分け」は、地域差や個人の考えも大きく影響して、なかなか興味深い。


 世代でも異なるが、こんな考えを持つ人が多い。着物は、「どう、この着物、似合う ?」

などの軽い、話し言葉として、一方、和服はニュース記事、

「今年の入学式には和服姿が目立った」などの書き言葉で、少し重い感じ。なるほど。


 俳句にも興味がある彼には、こんな句を一緒に作りながら、「違い」など

気にすることないよ、とやんわり諭した。「春盛り 着物と和服 お揃いで」


最新記事

すべて表示
外から見る日本語

お別れインタビュー記事    バンクーバー新報 9月号 連載コラム「外から見る日本語」 矢野修三さんインタビュー 日本語教師の矢野修三さんによる「外から見る日本語」は、 バンクーバー新報が紙媒体だった2001年から始まった。...

 
 
 
外から見る日本語 253

バンクーバー新報 8月号に掲載 ☆ 「凸凹」と「凹凸」の読み方は ?    さわやかな青空が広がって、これぞバンクーバーの夏。いろいろ楽しまねば。先ずは、コロナによる運動不足を解消すべく、ハイキングや歩こう会などに張り切って参加している。...

 
 
 
外から見る日本語 252

バンクバー新報7月号 掲載 ☆ 「肉」は ニクらしい ?  日本語教育において、漢字の導入はなかなか大変である。 漢字など見たくもないという生徒も多いが、日本語における漢字の役割は大きく、日本語上級者になるにはある程度の漢字学習は不可欠なり。...

 
 
 

コメント

5つ星のうち0と評価されています。
まだ評価がありません

評価を追加
bottom of page