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《ことばの交差点》29

  • 執筆者の写真: 矢野修三
    矢野修三
  • 7月1日
  • 読了時間: 3分

更新日:8月6日


                      日加トゥデイ 2025年 6月号 掲載


☆    雨多き月を「水無月」とは?

 

今年も、早や6月も下旬になってしまった。日本では、ジメジメした梅雨の時期である。

そういえば、旧暦ではそれぞれの月を、古い和風名で呼んでいた。現代では使われておらず、日常生活には全く必要ないが、日本特有のカレンダーなどには、

睦月(1月)、如月(2月)、弥生(3月)・・・、神無月(10月)、霜月(11月)、師走(12月)と書いてあるのも数多くあり、少なからず目にする機会も。 確かに。


 6月になると、ふと思い出すことがある。かなり昔だが、この和風月名を学んで、6月を「水無月(みなづき)」と知ったとき、えっ、梅雨の時期なのに、なぜ、「水が無い月」なのか、不思議に思った。でも、旧暦と新暦では1か月以上ずれがあり、また当時はこんな昔の月の名前など興味なく、ほとんど気にしなかった。


 しかし、日本語教師になってから気になり始めた。この旧暦の月名は日本文化の象徴として、自然の変化や人々の生活様式などを表わしており、なかなか風情がある。さらに、古典に興味を持つ日本語上級者との会話にも折々登場し、語源などの質問も受けるので、日本語教師としては、かなり大事な知識である。


 そこで、いろいろ調べてみた。これらの月名は驚くことに、はるか昔の奈良時代から使われていたようで、由来などもはっきりしない月もあり、いろいろな説があるとのこと。

この「水無月」も「水が無い月」という意味ではなく、「無」は、古語では「の」を意味する漢字だったようで、田んぼに水を張る季節であり、「水の月」すなわち「水無月」になったという説が有力らしい。えー、ホント、びっくり。

 

 さらに、同じような10月の「神無月(かんなづき)」だが、これも「神が無い月」ではなく、この時期は農作物の実りを神に感謝する「月」ということで、「神の月」、すなわち「神無月」と呼んで、お祈りしたようである。またびっくり。


 でも、出雲地方ではこの月を「神在月(かみありづき)」と。理由は、この月は出雲大社に八百万の神々が集まる特別な「月」であり、日本中の神様が集まってくるので、「神無月」ではなく、「神在月」と呼ぶことに。なるほど。出雲の人々のユーモアあふれる言葉遊びを感じる。事実、全ての神々が出雲大社に集まるので、日本中に神様がいなくなるから、「神無月」と呼ぶようになったという説もある。そのように学んだ記憶あり。


 こんなことを考えながら、1月「睦月」から12月「師走」の月名を眺めていたら、思わぬことに気づいた。月の名前だから、「月」がついているのが当たり前だが、なぜか2つの月だけ、「月」がついていない。


 そう、「弥生」と「師走」である。でもなぜ? うーん、これといった理由は見当たらないが、3月は年度末、そして、12月は年末。どちらも一年のうちで、いろいろ忙しい時期。

 

 ひょっとして、名前をつける役目の神様もバタバタして「月」をつけ忘れちゃったのでは・・・。すると、この”うっかり神様”は、この大事な「月」に、出雲大社からお呼びがかからなくなってしまったのでは・・・、

これぞ、まさに「運の尽き 《月》」かも。おそまつ、失礼しました。





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